経営者の方へ

役員退職準備金

1.企業、経営者個人の両面の視点からみた退職金の重要性

日夜業務に精励されている経営者の方々が退職される際には、その功績に応じた十分な額の退職金が必要
です。
健康で長生きするだけでなく、豊かでゆとりのあるセカンドライフをおくるためにも今から準備が必要です。


2.役員退職慰労金の性格

従業員の退職金は会社が制度として定めている場合、労働債務として支払義務が発生しますが、役員退職慰労金の法的な性格は役員に対する「報酬」の一種ですから、会社の経営状況によって支給が決められるものです。


3.役員退職慰労金規程の必要性

上記2のような性格をもつため、役員退職慰労金の準備にあたっては、事前に役員退職慰労金規程を取締役会で定め、支給の確実性を増しておくことが必要といわれています。また、税務上で考えても、規程がない場合、支給基準が明確でないとの理由でその「損金算入」が否認され易いといわれています。


4.役員退職慰労金支給の一般的な流れ


5.役員退職慰労金のメリット

(1)法人にとってのメリット

一般的には、下記により算出された金額が退職慰労金・弔慰金の適正額の目安として損金算入が可能となります。

A.損金に算入できる妥当な水準としては、功績倍率法が目安とされています。
・役員退職慰労金=最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率
B.弔慰金として法人が支給する金額も以下の範囲内であれば損金処理が可能です。
・死亡時の報酬月額×36ヶ月(業務上死亡)
・死亡時の報酬月額×6ヶ月(業務外死亡)

税務上、在職期間や同業種・事業規模が類似する他の法人の支給状況と照らし、過大と認定された
部分については損金算入できないと定められています。(※法人税法第36条、同施行令 第72条)。


(2)個人にとってのメリット

A.退職所得と非課税枠
(a)勇退時退職慰労金は退職所得として他の所得と分離して課税(分離課税)され、退職所得の計算にあたっては次のように優遇されています。
・課税所得金額=(退職金額-退職所得控除額)×1/2
※退職所得控除額
勤続年数が20年以下の場合・・・勤続年数×40万円(最低80万円)
勤続年数が20年超の場合・・・ (勤続年数-20年)×70万円+800万円

(b)法人から支払われる死亡退職金・弔慰金は下記の金額までは非課税となります。
・死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
・弔慰金の非課税枠=死亡時の報酬月額×36ヶ月(業務上死亡)
・死亡時の報酬月額× 6ヶ月(業務外死亡)

B.役員退職慰労金と役員報酬の手取額
下記のケースのように、同じ金額を役員退職慰労金として受け取った場合と役員報酬として受け取った場合では、その手取額に大きな差がでてきます。
(a)役員退職慰労金の計算(最終報酬月額100万円、役員在任年数30年、功績倍率3.0と仮定)
・役員退職慰労金の適正額:100万円×30年×3.0=9,000万円
 
(b)(a)の役員退職慰労金適正額(9,000万円)を受け取った場合の税額
・課税所得金額:9,000万-{800万+70万×(30-20)}×1/2=3,750万円
・所得税:3,750万円×40%-279.6万=1,220.4万円
・住民税:(3,750万円×10%)×0.9(※注1)=337.5万円
・合計税額:1,220.4万円+337.5万円=1,557.9万円
(※注1)退職時に、「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に提出し住民税も特別徴収した場合住民税は10%控除されます。

(c)役員報酬900万円を10年間上乗せ(9,000万円)された場合の税額(※注2)
(※注2)給与所得控除のみ考慮
① 上乗せ前の役員報酬1,200万円(報酬月額100万円×12ヶ月)の税額
・課税所得金額:1,200万円-(1,200万円×5%+170万円)=970万円
・所得税:970万円×33%-153.6万円=166.5万円
・住民税:970万円×10%=97.0万円
・合計税額:263.5万円
②上乗せされた後の役員報酬2,100万円(1,200万円+900万円)の税額
・課税所得金額:2,100万円-(2100万円×5%+170万円)=1,825万円
・所得税:1,825万円×40%-279.6万円=450.4万円
・住民税:1,825万円×10%=182.5万円
・合計税額:632.9万円
③ 10年間の上乗せ分9,000万円(900万円×10年)の役員報酬に対する税額
・(②-①)×10年=3,694万円

(d)手取り額の差額
① 役員退職慰労金9,000万円を受け取った場合の手取り額
(a)9,000万円-(b)1,557.9万円=7,442.1万円
② 役員報酬に900万円が10年間上乗せされた場合の手取り額
900万円×10年-(c)3,694万円=5,306万円
③ 手取り額の差額は2,136.1万円(①-②)

6.みなし退職のメリット

(1)後継者との円滑な引継ぎ・指導・アドバイスが可能

(2)みなし退職時に会社の利益を圧縮できる(自社株の相続税評価額を引き下げる)

(3)退職慰労金等を2度受け取れ、将来の相続対策資金として活用できる

(4)減額した報酬額を後継者の報酬増額に充てることにより自社株購入資金準備または、代償交付金準備が可能


7.生命保険を活用した退職慰労金準備のご提案

長期平準定期保険等を活用するのが効果的です。
また、終身保険によって資金準備と同時に一生涯の保障を準備し、退職時には退職慰労金の一部として名義変更する方法もよく採られます。(この場合保険料は損金算入されません)
みなし退職制度の活用にあたって、複数の保険種類を組み合わせて活用することも有効な方法と考えられます。

詳細は省略しておりますので実際の活用に当たっては専門家にご相談されるようお願い致します。

参考)本資料は平成22年7月1日現在における税制・法令に基づき掲載しております。詳細は省略しておりますので実際の活用に当たっては専門家にご相談されるようお願い致します。

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